隙間女または壁女とも


とあるところに、一人暮らしをしている男性がいた。
ある日、男性は部屋の中で何者かの視線を感じるようになった。
もちろんあたりを見回しても誰もいない。部屋には自分ひとりだけのはずである。
しかし、見られているという感覚は、なおも続いた。
不安になった男性は、部屋の中を探しても見たが見つからない。覗かれているかもしれないが、男性は自室にいるときはカーテンを閉めているのでそれはありえない。
もしかして監視カメラや盗聴器でもあるかのか……男性はますます心配になって念入りに部屋を探すことにした。
そして視線の正体を見つけてしまった。

タンスと壁のわずかな隙間から、じっとこちらを覗いている女を―


知名度はやや低いですが、この話のルーツは古く、江戸時代の耳袋という書物にも載っています。そこに収録されている話も上記のものとほとんど変わらず、年が経っているにもかかわらずほとんど姿を変えない稀有な妖怪かもしれません。

誰でも自分の生活を覗かれたくはありませんよね。
「もしかしたらこの部屋に監視カメラが仕掛けられているかも……」
そんなことを考えたのはきっと私だけではないはずです(笑)
万が一、今の自分の生活が覗かれていたら― という気持ちが生み出した妖怪のようです。


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