カシマさん


いきなり解説から入ります。
カシマさんはその性質上、つかみ所のない特異的な妖怪といえます。
「カシマさん」はアメリカ人にレイプされた女性であったり、北海道の線路で腰から上を切断された女性であったり、
学校のトイレに出現したり、また女性ですらなく軍服の男性であったりもするように「カシマさん」という単語だけが一人歩きをし、
そのパターンは無数に存在します。

では大体のパターンから参りましょう。

1、カシマさんの話をする。
(ここが無数にあり、カシマレイコさんという方が不幸に遭いなくなってしまう話や、カシマさんが事故などで体の一部を失ってしまうパターンなどです。)

2、この話を聞いた人はカシマさんが、話を聞いた人の家にやってくるか、夢の中に出てくる。(話によって変わるが、その日の夜から1ヶ月以内)

3、そのときにカシマさんは聞いた人間になぞなぞのような問いかけをする。(このパターンもいくつかある。)

4、3で質問されたことや謎かけに答えられない場合、カシマさんはその人間の体の一部を奪ってしまう。


というものです。3の質問には決められた受け答えや、場合によっては呪文を唱えることで回避することができます。

代表的な呪文は「カシマさん、カシマさん、カシマさん」と唱えるもの。
代表的な受け答えは「私の名前はなあに?」というカシマさんの質問に対して、「カシマレイコさんです」と答える。
場合によってはカシマさんの漢字まで答えるパターンがあり、そのときは「カは仮面の仮、シは死人の死、マは魔界の魔」と答えなければならない。

言ってみれば2ラウンド制の怪談のようなものでしょうか。
1ラウンド目は人の話を聞く、この段階では自分には被害がありません。
2ラウンド目はカシマさんとの対決です。自分のところへ何らかの形で現れるカシマさんを追い払わなければなりません。
そのために、カシマさんの話を初めて聞く人は必死にその対処法を覚えるのです。

私もそうですが、「この怪談を聞いた人のところへは〜」という怪談のパターンを嫌う方も多いのではありませんか?
そういう人間の心理に漬け込む形でカシマさんはさまざまなものへ形を変えてこの21世紀にも生き続けることでしょう。
なおカシマさんについては松山ひろしさんが「カシマさんを追う」という本を出されています。
私も買いましたが、カシマさんを知りたい方は読んでみるのもいいかもしれません。


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