奥地の達者     


ダルマって漢字でどう書くか知ってますか?
「達磨」?そうですね。そう書くのが一般的ですね。
でもあなたのおじいさん、おばあさん、もしかしたらひいじいさんひいおばあさんはの中には
こういう漢字で書く人もいるんですよ。
「達者(ダルマ)」と―


これは、そんな達者にまつわるお話。


ある日本人女性が中国の奥地を旅行していました。
彼女は奥地を旅行するだけあって中国語も堪能で、この旅をとても楽しんでいました。
そしてある山に登ろうと山道を歩いていると「達者」という看板を出している店を見つけました。

「達者」?何のお店だろう?
そう思った彼女は薄暗い店内へと入っていきました。

店の中は薄暗く、中には数人の中国人がいました。
奥のほうには大きな人形が並んでおり、みんなそれを見ているようでした。
彼女は人形の方へ近づいて固まってしまいました。

人形達には手足がありませんでした。
それに加えて、なんと人形達の目や口は動いているのです。
そう、人形だと思っていたのは手足を切断された人間、つまり「達者(ダルマ)」だったのです!
彼女はその異常すぎる光景に叫ぶのを必死でこらえ、ただ震えていました。

ようやく落ち着きを取り戻して彼女が急いで店を出ようとしたとき、達者の一人が口を開いたのです。
「おい、おまえ日本人だろ!?頼む助けてくれ!助けてくれよ!」
達者は必死に彼女の方に顔を向けて叫びました。店の中国人たちの怪訝な視線が彼女に集まりました。
『ここで日本人ということがばれたらまずい・・・』
そう考えた彼女は日本語がわからないフリをし、得意の中国語で弁解して急いで店を出ました。

あのダルマの日本人が誰だったのかはいまだに不明だといいます。


この達者というのは中国の処刑方法の一つです。
つ80〜90年ほど前までには実際に行われたものであり、
映画や本にもなった西太后にも、「達者」がでてきます。

西太后が若く美しい女中に嫉妬して、それを達者にするのです。
それを塩水の入った壷に漬け込み、すぐに死なないように、食べ物だけは与えるというものです。
きちんとした切断後の処置と、食事を与えればそのままの状態で何年の生きるといいます。
それを「観賞用」として見るわけです。いやはや恐ろしいですね。



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