腎臓泥棒         


あるサラリーマンが出張のために東京の新宿にやってきた。
その日は大きな商談がまとまったために上機嫌だった。
バーの片隅で一人良い気分で飲んでいると、店にいた女性に声をかけられた。
女性はとても魅力的な顔立ちで、彼はだめ元でホテルに誘ったが存外にOKをもらうことができた。
ホテルに戻って彼女ともう一度飲みなおしたところで彼の記憶は途切れてしまう。

次の日の朝、彼はバスタブで目を覚ました。
バスタブには水が張られて氷まで入っている。
やられた!と思ったが、バスタブの横のには
「目が覚めたらすぐに救急車を呼んでください!あなたの命にかかわります!」
というメモが彼の携帯と一緒に置いてあった。

この状況にただならぬ気配を感じた彼は、言われたとおり救急車を呼んだ。
病院に運ばれた彼の背中には手術のあとがあり、
そこから腎臓がひとつ抜き取られていたことがわかった。

このようにして抜き取られた肝臓は闇のルートで売買されているという。


この噂はアメリカ発祥です。90年代から語られるようになり、
日本にも入ってきました。
アメリカの場合の舞台は、ニューヨークやロサンゼルス等の様々な大都市ということが多いですが、

日本では舞台となるのは新宿の歌舞伎町と大体決まっています。
臓器密売という怪しい雰囲気に合うのはやはり新宿の歌舞伎なのでしょうか。


話の内容自体についてですが、腎臓を摘出するのは非常に難しいために、
ホテルの一室で術式を行うのは設備から考えると不可能だそうです。
それに衛生面からも、無菌状態で摘出は行わなければならず、ホテルで出来るものではありません。



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