ドラえもんの最終回6


物語の終わりは唐突にやってきてしまう。

のび太はいつものようにジャイアンにいじめられ、秘密の道具を借りてなんとかしようと家に帰ってドラえもんに泣きついた。もう何度も繰り返されたシーンである。
しかし、今日はドラえもんの反応がない。

のび太が大声で呼んでも、頭をたたいても何の反応も示さないのだ。こんなことはドラえもんが家にやってきて以来初めてのことである。

不安になったのび太はスペアポケットを使ってドラえもんの妹ドラミと連絡を取る。ドラミは深刻そうな顔をして
「電池切れみたいね」
とつぶやいた。
「じゃあ電池を換えれば動くんだ。簡単だね。」
とのび太が言うと、それを制するようにドラミは

「そんなに簡単じゃないの。旧式のネコ型ロボットの記憶のバックアップは耳にあるの。お兄ちゃんは耳がないから電池を交換すればのび太さんたちとすごした記憶が全部なくなっちゃうわ。」

愕然とするのび太にドラミは続けた

「電池を換えれば今までの記憶がなくなるけど、お兄ちゃんとはまた暮らすことができるようになります。のび太さん、どうしますか?」

のび太は返事を待ってほしいと言って、その夜ドラえもんとの楽しい思い出を振り返って泣き明かした。

『ドラえもんとの楽しい記憶がなくなるのは……』

その日からのび太は変わった。ジャイアンなどの友達には「ドラえもんは未来へ帰った」言い、猛勉強を開始したのだ。
その理由は『自分の手でドラえもんをなんとかしよう!』という一念であった。

心機一転の勉強の甲斐あって、のび太はロボット博士になった。


数十年後―
のび太は妻となったしずかを自分の研究室に招き入れた。
そこにはあの日から動かないままのドラえもんが横たわっている。
「さあ、スイッチを入れるよ。」

スイッチを入れて数瞬後、ドラえもんは永い眠りから目を覚ました。

「のび太くん、宿題は終わったかい?」


解説はこのストーリーに絡んだ同人誌事件とともに解説編で説明します。


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