トミノの地獄


放送禁止ではないのですが、こちらのカテゴリーで紹介させていただきます。

この世には決して声に出して呼んではいけない詩があるといいます。
それが童謡作家としても知られる詩人、西条八十が出版した詩集「砂金」に収録されている
「トミノの地獄」という作品です。
トミノという少年が地獄を旅するというさびしくもロマンチックな内容の詩で、
心の中で読む(黙読)までならかまわないが声に出して読むと凶事が起こるといわれています。

この話の出所は四方田犬彦という学者(存命)の「心は転がる石のように」だとされています。
まだこの本を読んではいませんが「心は〜」の出版が2004年ということを考えると、
「トミノの地獄を音読すると凶事が起こる」という話自体が広まりだしたのはつい最近だということになります。


実は私もこの「トミノの地獄」を音読してちょっと大変な目に遭ったことがあります。
都市伝説ラジオの放送中にこの詩の全文が投稿されまして、
『おもしろそうだし、それじゃあ声を出してちょっと読みましょうか。』と軽い気持ちで読み始まることになりました。
最初の方はサクサクと読めましたが、詩の半分ほどに差し掛かったあたりからなんだか気持ちが悪いというか体が重くなってきたのです。
そして3分の2まで来ると不快感に耐え切れず、放送を中断して回線を切ってしまいました。

なので、みなさんも声に出してこの詩を読むのは控えたほうがいいと思います。



トミノの地獄


姉は血を吐く、妹(いもと)は火吐く、
可愛いトミノは宝玉(たま)を吐く。
ひとり地獄に落ちゆくトミノ、
地獄くらやみ花も無き。
鞭(むち)で叩くはトミノの姉か、
鞭の朱総(しゅぶさ)が気にかかる。
叩けや叩きやれ叩かずとても、
無間(むげん)地獄はひとつみち。
暗い地獄へ案内(あない)をたのむ、
金の羊に、鶯に。
皮の嚢(ふくろ)にやいくらほど入れよ、
無間地獄の旅支度。
春が来て候(そろ)林に谿(たに)に、
暗い地獄谷七曲り。
籠にや鶯、車にや羊、
可愛いトミノの眼にや涙。
啼けよ、鶯、林の雨に
妹恋しと声かぎり。
啼けば反響(こだま)が地獄にひびき、
狐牡丹の花がさく。
地獄七山七谿めぐる、
可愛いトミノのひとり旅。
地獄ござらばもて来てたもれ、
針の御山(おやま)の留針(とめばり)を。
赤い留針だてにはささぬ、
可愛いトミノのめじるしに。


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