ファール
ファール(うわさについての質問)
▽メール件名 ファールボールについて△
おじさんこんにちは。メールで失礼します。
最近、とても不思議に思ったうわさ(?)がありました。これは本当にあるのでしょうか?僕はよくわからないので、おじさんにメールを出してみました。
先月、僕が友だちと野球をしていたときのことです。ぼくの打席で、相手ピッチャーは同じクラスの今井くん。
2アウトでランナーは満塁。得点のチャンスなので、僕は初球から積極的にバットをふっていきました。しかし、二球つづけてからぶり。追い込まれてしまいました。
しかしそれからは、なんとしても三振だけはするものか!と、ボールにくらい付いていって、ファールを連発。六球ファールで粘ったところで、とつぜん今井くんがタイムをとり、ぼくに向かって言いました。
「おい、バッターはあと三十回ファール打ったらアウトだからな!」
そんなことをいうのです。
ぼくが何を言ってるかよくわからないうちに、試合は再開されました。そして結局、からぶりの三振をしてしまいました。
試合が終わってから今井くんに、さっきのことを聞くと
「おまえ知らないの?バッターが三十六回ファールを打つとアウトになるんだぜ。」
今井くんは得意そうにぼくに教えてくれました。なんでも中学生のお兄さんが教えてくれたそうです。
でも、、こんなルールは本当にあるのでしょうか?そもそも、ファールを三十六回も打てるものなんでしょうか?どうか教えてください!
かいせつ
「この質問した人は、野球知っている人にきけばいいじゃん!」
と思う人もいるかもしれない。でもね、
「あれ?三十六回ファール打っちゃうと、アウトになるんじゃないの?」
と野球をしている人の中にだって、この話を信じている人はけっこういるみたいなんだ。しかも全国に話は広まっていて、ファールの数も地域によっては三十回とか三十三回というところもあるんだよ。
このルール(?)は昭和の後半に生まれたとされていて、それから地味に今でも生き続けている野球ルールについての都市伝説だ。
リトルリーグや草野球、高校野球など、日本ではまだまだ野球は活発だから、なかなかのスピードで日本中へと広まっていったんだろうね。そのとちゅうで三十三回だとか、三十回のようなパターンも生まれていったんだと思う。
さて、ここでひとつ疑問がおこる。野球をやったことがある人にはわかると思うけど、ファールを連続で打つことはとても難しいんだ。
おじさんも、高校野球は毎年見るし、プロ野球も結構見たりする。でもいままで三十六回もファールをした人を、おじさんはテレビで見たこともないし、知らない。せいぜい七、八球ファールをするのを見たくらいだ。この相談をしてくれた子も、六球連続でファールしたそうだけど、それでも結構珍しいよ。良く粘ったね。
なんといっても、審判の人がいちいちファールの数を数えているわけもないだろ?(笑)こんなルールなんて存在しない。「ファールは何回打ってもかまわない。」ってこと。だからメールをくれた子も、心配なんてせずにガンガンいってほしいね。
ちなみにプロ野球で一番多く粘ったと思われる選手は、六十年ほど前の松井信勝さんという選手で、1回の打席で十九球粘った。
大リーグでも、七十年ほど前にルーク・アップリングという選手が十七回連続でファールをしたのが最高だそうだ。
ふたりとも三十六回にはまだまだだよね。
※今回は読者又はサイトの訪問者の子供からのメールに、私が解説で答えるという形式にしました。