合掌
合掌
とある中学校の体育祭でのできごと―
十月のよく晴れた日に、毎年恒例の体育祭が行われた。
まず開会式が行われ、その後全員で体操をして体をほぐしてから競技が始まった。
しかしそこで悲しい出来事が起こってしまう。普段から少し心臓の弱かったA君が、100m競争でゴールした直後に、心臓ほっさを起こして病院に運ばれたが、手当てのかいもなくそのまま病院で亡くなってしまった。
突然のアクシデントで体育祭は一時大騒ぎになったが、先生たちが生徒たちの騒ぎをおさえて、なんとか静まり、その後は無事に体育祭は終わった。生徒たちが、A君が亡くなったのを知ったのは閉会式のあとだった。
そして1週間後、体育祭の写真ができたので、ある先生が自宅で写真のできあがりを見ていた。この先生は趣味が写真で、あの体育祭のときも、カメラを持ったまま生徒たちの頑張る様子をたくさん撮っていたのだった。
先生は自分の撮った写真に満足しながら、一枚一枚めくりながら体育祭のことを思い出していた。
「そういえば、体育祭のときに亡くなってしまった子がいたな・・・自分のクラスの子でもなかったけど、かわいそうな子だった。もし、Aの写真があれば、きっと生きているときの最後の写真だし、両親に渡してあげることにしよう。」
そう思い、先生は写真の山からA君が写っている写真を探し始めた。
しばらくすると、お目当てのA君が写っている写真が見つかった
「よかった。体操のときに撮ったのがあったか。うわっ!これは・・・!」
先生は結局、A君の写真を両親に見せることはなかった。いや、見せられなかったのだ。
その写真には、開会式の体操の様子が写っていた。すこし顔色が悪いながらも頑張って体操をするA君。しかし、そのまわりで体操する生徒全員がA君の方を向いて手を合わせていたのだった。まるで、これからどうなるかわかっているように。
かいせつ
最近(最初は人気がなかったそうで、くわしい年代はわかりませんが)語られ始めた、心霊写真に関するお話です。どちらかというと、学校の怪談に近い都市伝説でしょうか。
もちろんそんな写真はありませんが、怖さのみを追求した都市伝説みたいだね。
別のパターンもあって、
■A君が写っていたのは100m走のゴール前の写真で、ゴール前のお客さんたちが、A君や選手に拍手をしている写真なのだが、奇跡的に拍手をしている全員の手が、A君へ向けて手を合わせているように見えた。
という百メートルでのパターンもあります。
心霊写真に関する都市伝説としては、
■夏になるとTV番組でやっている心霊写真特集。なかなか盛り上がって人気も高いコーナーだけど、番組でも紹介できないほど「ヤバイ」幻の心霊写真が存在するらしい・・・
でも冷静に考えれば、ヤバければヤバいほど視聴率も上がるし、話題にもなるのに、何で紹介しないの?って感じだよね。この合掌している写真もそんな一枚だ。
幻は幻なんだね。
つくづく、人は「幻」とか「奇跡」という言葉に弱い生き物だ。おじさんもそういう夢のある話は嫌いじゃないけどね。ちなみにおじさんの友達には「限定品」や「今だけ」って言葉に弱い奴がいるぞ。(笑)
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