ハンバーガーの秘密


私は川上若菜、中学二年生になります。
大変な学校のテストがようやく昨日で終ったので、土曜日の今日は友達の幸代と一緒に遊びに行きました。
つらいテスト勉強から開放された私たちは、お店で洋服を見て、カラオケで力いっぱい歌って、とても楽しく過ごしました。

「あー面白かった。若菜はあいかわらず、カラオケ上手だね。ねぇ、おそくなっちゃったけど、ごはん食べない?」
カラオケから出ると、幸代が言いました。
「そうだね。どこにしようか?」
私もなんだかカラオケで歌ったら、急におなかがすいた気がしました。
「そうだね、じゃあそこのハンバーガーショップに行こうか。」
というわけで、私たちは日本中にお店を出している『メイクドバーガー』というハンバーガーショップでご飯を食べることにしたのです。
「ご注文はお決まりでしょうか?」
お店に入ると、笑顔の女店員さんが注文を聞いてきました。
「メイクドチキンバーガーと、普通のハンバーガーのセットを二つください。あ、飲み物は両方コーラお願いします。」
幸代はチキンバーガーを、私は普通のハンバーガーのセットを頼みました。
さすがに全国でも有名なハンバーガーショップ。コーラとポテトのついた2つのセットが、すぐに出来上がりました。
私と幸代は、お店の空いている席で、早速おしゃべりをしながら食べ始めました。ひさしぶりの休みをもっと楽しみたかったのです。

しかし……

あれ?ハンバーガーを食べていると、へんなことに気が付きました。
「ねえ、幸代、これなんだろう?」
私は食べかけのハンバーガーを幸代に見せました。ハンバーガーの間に挟まっているお肉から、赤くて太い糸のようなものが出ていました。
「え〜なんだろうこれ〜?すごい変じゃない?私はチキンバーガーだけど、そんなのは出ないよ。」
 そう言って幸代も自分の食べかけを見せてくれましたが、赤い糸のようなものは見つかりません。
「もしかして若菜のそれって、ミミズじゃないの?」
からかうように幸代が言いました。
「何言ってるのよ、そんなわけないじゃない。」
でも、私はだんだん不安になってきました。そして、その赤い糸がどう見ても、ミミズのように思えてきたのです…

「ちょっとこれ、店員さんに見せにいこうよ。」
とうとう私たちは席をたって、このミミズのようなものが一体何なのかお店の人に聞くことにしたのです。
 カウンターに行くと、さっきの笑顔の女店員の人が、店長の男の人を呼んでくれました、
「ちょっとこのハンバーガーなんですけど、見てもらえますか?」
店長がやってくると、私はハンバーガーを見せながら切り出しました。するとその店長の顔色がみるみる変わって、
「お客様、ちょっとこちらへ来てください。ごめんなさい、お友達の方はちょっと席で待っていてくださいね。」
と、私一人でお店の事務所へと呼ばれました。
事務所は机といろいろな書類が置かれているだけの、さっぱりとした部屋でした。
私と店長さんしかいないのに、とても小さい声で店長さんは
「ごめんなさい、さっきのことは見なかったことにしてください。これはおわびのしるしです。それにこのことは絶対に誰にも言わないでくださいね。」
そういって、私にお金を渡そうとしたのです。
びっすると同時に、店長さんのお金で何かを隠そうとする態度から、あれはミミズだってことがわかってしまい、とても気持ち悪くなりました。でも、黙っているだけでお金がもらえるならと、店長さんからお金を受け取ることにしました。
 トイレで、思いっきりうがいをしてから席に戻ると、幸代は心配そうな顔で
「若菜、どうだった?何か変なものだったの?」
 と聞いてきました。幸代も店長の態度をおかしく思ったのでしょう。
「ううん、ぜんぜん違うってさ。こういうお肉の部分があるんだって。びっくりして損しちゃったね。」
 幸代をだますのはとても辛かったけど、精一杯の演技で私はさっきのことをごまかしました。

このことがあってから、私はもう二度とハンバーガー食べなくなりました。
だって、みんなが「おいしいおいしい」と言って食べているハンバーガーの原料は、ミンチにされたミミズなんですから。きっと、私はあのときよくミンチにされていなかったミミズを見てしまったのです……


かいせつ

 

こんにちは。給食のおじさんです。

さて、みんなはハンバーガーが好きかな?

おじさんはとっても大好きだよ。昔は六個も食べたこともあるんだ。どうだ、すごいだろう!いつか給食でハンバーガーを出そうとも考えているんだ(笑)

……あれ?みんなどうした?

なに?ハンバーガーの原料がミミズだって言っておいて、そりゃないだろだって?

 

じゃあ早速、この話の内容について説明していこうか、みんなはハンバーガーは安いなあって思ったことは一度はあると思う。まず、お肉をはさむパンや、真ん中に入っているピクルスって言うきゅうりの漬物。味をつけるケチャップ、レタスも1枚入ってるよね。そして、牛肉100%のお肉だ。結構な量はあるのに、お店によっては百円以下で食べることができるのは、なんだか怪しい気がするよね。

もしかしたら、牛肉なんて高いお肉は使ってないんじゃないか。それよりも、ミミズを叩き潰してハンバーグにすれば安くできるんじゃないか……

普通に考えたらありえない話なんだけど、もしかしたらあるのかもしれない・・・そんな考え方が、「都市伝説」を生むんだ。そして、なんとなく説得力のあるこの話は全国へと広がっていった。

この「ミミズバーガー」の話はとても有名な都市伝説で、日本にハンバーガーが発売され始めたころから話されているんだ。ちなみに、そのころの噂の原料(?)は「ミミズ」ではなく、「猫」だったそうだよ。「ニャンバーガー」なんておしゃれな名前が付いてたんだ。それからは、猫のお肉よりもイメージしやすいミミズに姿を変えて、今でもかなりの人がハンバーガーの都市伝説を信じているんだ。みんなのお父さん、お母さん、もしかしたら学校の先生も信じているかもしれないね。

じつはおじさんも、この話を聞いたときには、結構信じてしまったんだよね。「そうだ、こんなに安いのはミミズを使っているからだ!」ってね(笑)

 

え?それで、結局この話は本当なのかって?

OKOK、それじゃあどんどんいくぞ。

まず、原料がミミズだった場合だ。

ミミズは土の中に住んでいるよね、だからあの細い体の中に泥やジャリが入っているので、ミンチにしてハンバーグにすると、とてもじゃないけど食べられない。一匹一匹をウナギみたいにさばいて、泥を取り出して……なんて時間とお金がかかって仕方がないね。想像したくもないしね(笑)

もし、ミミズでハンバーガーを作ろうとすれば、600円〜700円がかかるんだって。みんなのお小遣いどころか、大人だってほとんど食べる気のなくなる値段だよね。他にも食用ミミズはあるんだけど、これは漢方などで使われるもっと高いミミズのことをいう。これでハンバーガーを作ったら一体いくらになるんだろう。断然牛のほうが安くなりそうな気がしないか?一頭でミミズの何万倍もお肉がとれそうだしね。

それに、お肉を扱う業界の中でハンバーグなどに使う、ミンチされたひき肉を「ミミズ」と呼ぶことがあるという。それが一般の人へ誤った形で伝えられ、「ミミズ=ハンバーガーの肉」という話ができたのかもしれないね。

 

たとえば、マクドナルドが発売しているビッグマックは知ってるかい?

でかくておいしいから、おじさんは大好きだ。そのビッグマックのパンの上にはゴマがふってあるんだけど、パンの上にすこしでも多くゴマをふりかけると、下にこぼれてしまう。これが非常にもったいないから、なんと節約を考えて、ビッグマックの上にのっているゴマの数は決まっているんだ。

なんでそんなことに頑張るの?と思うかもしれないけど、このゴマの数をギリギリに抑えたことで、一年間で何百万円もの節約になったんだ。

他にもお店への配達の工夫や、なるべくお客さんが入るようにお店を立てる場所を一生懸命に考えているんだよ。

 

結論をいうと、ハンバーガー会社の社員さんたちが、いろんな努力をして牛肉やパンの値段を下げている。

その値下げの努力には、たとえミミズでも猫でも勝てないってわけ。


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