高給バイト1

大学の医学部に、一部のコネのある人間しか就くことができないアルバイトをご存知だろうか。
それは死体洗いのアルバイトである。

医学部の実習で使う解剖用の死体は地下の大きい部屋にあり、
そこではプールのようなものがあって、プールの中では何体もの死体が浮いているという。
それを洗ってきれいにして、再びプールに沈めるのがこのバイトの仕事内容だ。
死体を扱うという点と、部屋に充満しているホルマリンと死体の強烈な匂いがすさまじいが、
その分アルバイト料も高額で、時給1万円が支払われる。

解剖用の死体は年に数回キレイにしなくてはならず、
そのたびに医学部にコネのある学生がアルバイトとして奮闘するという。


解説

もう定番中の定番ですね。
死体洗いのアルバイト。高校生のときに初めて聞きました。
私は病院ではありませんが、葬儀屋さんで死体を清めるバイトをしようと電話として見事玉砕した覚えがあります(笑)
こういった関連の「闇の高給バイト」はシリーズでまとめてみようと思います。

実際にこの死体洗いのアルバイトがあるのかどうかということですが、まず存在しないそうです。
全国の各大学に電話を入れて確認されたかたもいらっしゃいますし、死体はプールではなく寝袋のようなものへ入れて保存をしています。
しかし、今でも大きな大学病院などにはこのアルバイトを希望する若者からの電話がかかってくるそうです。

この都市伝説の特徴はなんといっても(自称)経験者が多いことです。
特に先生や塾の講師に多く、こういった話を聞いた生徒達が大学や社会人になってまた人へと話が伝わっていくのでしょうね。
なぜ自分が死体洗いをした!と言う方が多いのは謎ですが……

この話が語られるきっかけとなったのは、1957年に発表された大江健三郎さん作の「死者の奢り」という作品だといわれています。
ある学生が死体洗いのアルバイトをしながら生と死を考えていくというお話です。
今ではノーベル文学賞作家の大江先生も、50年前に書いた小説がココまで色々な人間に影響を与えるとは思ってもみなかったでしょうね。