麻薬犬

アメリカの空港での話―

空港内にいた麻薬犬が自分の仕事場である荷物検査の場所からを逃げ出した。
係員が慌てて追っていくと麻薬犬は、夫婦の前で吠えていた。

夫婦はもう荷物を預けたのか何も持っておらず、
代わりに母親の手には生まれたばかりの赤ちゃんが抱かれた。

一方このまぬけな麻薬犬は夫婦に噛み付こうとせんばかりの勢いだった。
普段は優秀な麻薬犬だけに係員は不思議に思いつつも、夫婦にお詫びを言った。
犬をなだめようとしたが、あいかわらずワンワンと夫婦に向かって吠えるばかりだった。

そしてとうとう犬が夫婦に飛び掛かり、あろうことかあかちゃんに噛み付いたのだ!

真っ青になった係員が犬を赤ちゃんから引き離した。
だがどうもおかしい。
犬に襲われたというのに赤ちゃんは声ひとつあげなかったのだ。

係員が赤ちゃんを調べてみると、なんとお腹が縦に大きく裂かれ、
内臓の変わりに白い粉がぎっしり詰まっていたのだ。

夫婦は麻薬の売人だった。
持ち物検査を通り抜けるために赤ちゃんの死体を利用しお腹にたっぷりと麻薬をつめて密輸先の国へ向かおうとしたのだ。


解説

いずれ書くと思うのですが「我慢強い赤ちゃん」という話から派生したものだと思われます。
こちらの話のが短く覚えやすいですね。