飛行機とネズミ

これは外国のスチュワーデスさんから聞いた話。
ヨーロッパの方面の国際線に、小さい女の子が乗り込んだ。
向こうの子どもはかなり長距離を旅行するので、
飛行機に一人で乗る子供もいるという。
その飛行機に乗った女の子もクビに「私は一人で旅行しています」というプレートを下げていた。
添乗員も心得たもので、こういった子どもは特にサービスをしてあげる決まりになっていた。

飛行機は無事に離陸を済ませた。
すぐに添乗員は女の子のところにいって寂しくないように話しかけた。
本を読みきかせたりして、女の子にまさに特別に接客していた。
その時になってわかったが、女の子は小さい箱を大事そうに胸に押し付けていた。
本を読み終えた添乗員は、旅の目的を聞くついでに女の子が抱えた小箱について尋ねた。
何が入っているのか教えて欲しいというと、
なんとねずみが入っているという。もちろん決まりで機内に生き物は持ち込めない。
大人をからかっちゃダメね。と添乗員がたしなめると女の子は強くガブリを振って否定した。
少しだけ見せてあげると言って箱を開けるとはたしてそこには白いねずみが入っていた。そして間が悪く、ネズミは逃げ出し大パニック。
客席の下を縦横無尽に動き回り、どこかへと消えてしまった。
逃げ出したネズミが飛行機の配線類をかじってしまえば一大事、空港に緊急着陸をしてから、ネズミの捜索とネズミに齧られた可能性のある機内の箇所を調べるために飛行機はほとんど全部分解された。
再びその機体が飛べるようになるために途方も無い金額がネズミ一匹のためにかかってしまった。