絵葉書坊や

ある日の新聞にこんな記事が載った。

―イギリスに住む難病を抱えたある●●君には夢がある。
それは、自分の名前がギネスブックに載ることだ。
●●君は世界一の記録を集めたギネスブックが大好きで、いつかは自分の名前が載ることを心待ちにしている。そして彼は、自分でも達成可能な記録に、「世界一多くの種類の絵葉書を持つ人」を選んだ。
彼は今も死の恐怖と闘いながら、世界中の親切な人からの絵葉書の到着を心待ちにしている。
もし、彼の元へ多くの絵葉書が届けられれば、小さな世界記録保持者が生まれることだろう。


解説

難病の子供への励ましの手紙・絵葉書を~
という呼びかけは定期的に行われました。
このような記事を読んだ優しい人の中には、実際にてがみを送った人もたくさんいたことでしょう。
しかし、このよびかけの対象となる男の子は存在しないことがあります。
ところが地方紙やローカルラジオが情報ソースを確認せず、架空の難病少年のギネスへの取り組みを紹介し、人の善意が踏みにじられ、男のがいるであろう近くの郵便局が悲鳴を上げて機能停止することもあります。
郵便局はどこに配達すればいいのかわからないのですから始末におえません。
昔から存在する、人の善意に付け込んだイタズラだと言えるでしょう。

しかしこの話、すべてが偽りというわけではなく、元になった話や実際に絵葉書を集めている難病の少年少女もいます。
彼らは重い病気のために一度も外出することができず、世界各地のきれいな風景を取り上げた絵葉書の到着を待っているのです。
このページを読んだ人は、同様の話を聞いた際にその少年少女の実在についてきちんと確認をしたほうがよいでしょう。