ホームレスの死

早朝、路地裏で一人のホームレスが死んでいた。
このあたりはホームレスも多く、生き倒れも珍しくない。
だが、このホームレスは喉をかきむしり苦悶の表情を浮かべてこと切れていたため、
警察はわずかな事件性を考え、周囲で簡単な聞き込みを開始した。
ホームレスに身寄りがある可能性はほとんどなく、このホームレスがなぜ死んでいたかというものを知る人はいなかった。
全く収穫のない聞き込みにあきらめかけた警察が現場近くのファストフード店に聞き込みを行くと、対応した店長の様子がおかしい事に気がついた。
警察はそれとなくホームレスの発見された状況などを話すと、観念したのか店長は私どもの店が原因かもしれませんと何もかも白状した。
実はこの店は以前からホームレスの食べ散らかしが問題となっていて、ホームレスが廃棄処分した食材を店のごみ箱を荒らしたいだけ荒らして食料だけを持っていくので、ゴミを出すのことに加えての二重の手間になっていた。
これを打開するために店側はゴミに水をかけて出して食べられないようにして出していたのだが、それでもゴミを漁られてとうとう我慢の限界を超えてしまったのだ。
店に設置してあるネズミ用のホウ酸団子をごみに振りかけて出すことにしたというのだ。
それとは知らず、食べてしまったホームレスはもがき苦しんで亡くなったという。


解説

この話はどのカテゴリに入れようかと悩みました。
お金と利益が絡んだ人間は、時に幽霊の何倍も怖くなりますね。