(都市伝説ラジオより、ブローカーさんありがとうございます。)
家を新築したばかりの夫人が、工務店のオヤジさんに文句を言った。近くの線路を電車が通るたびに、家が大揺れするというのだ。
「それはもう、ひどい揺れ方で、あたくしなんかこの寝室のベッドで寝ていると、ベッドから放り出されてしまうのよ! でも一番ひどいのはここ。このクローゼットよ」
夫人がクローゼットを開け、天井を指差しながら、
「この真上が娘の部屋のバスルームになっているの。そのせいか、電車が通って家が揺れるだびに、天井から水が漏ってくるのよ。もう主人の服なんかびしょびしょよ」
夫人がまくし立てた。
「あなた、あたくしが大げさだって思っていらっしゃるのなら、あなたご自分でこのクローゼットの中に入ってごらんなさい!」
工務店のオヤジさんは、あきらめたように肩をすくめると、夫人に言われるまま狭いクローゼットの中に入った。
そこへ突然、亭主が帰宅し、寝室へ入って来た。
そして夫人の説明する間もなく、上着をしまおうとクローゼットを開けた。当然、工務店のオヤジさんと鉢合わせになって、びっくり。
「おい、お前! こんなところで一体、何をしているんだ!」
亭主が怒鳴ると、オヤジさんは蚊の鳴くような声で、
「旦那、あっしが電車を待ってると言っても、信じちゃもらえませんでしょうね?」