イカ釣りの火


洞爺丸事故が起こった近くにある函館は、イカ釣り漁が盛んである。
イカを大量に捕るために、集魚灯をたくさん付けてイカを集める方法が使われる。
夜の沖に並ぶイカ釣り漁船は、沖から見るとそれはそれは幻想的な光景であるという。

だが、ある嵐の夜にイカ釣りの漁火が沖に灯った。

いくらなんでもこんな嵐の日にイカ釣りにでかけるのは自殺行為だ。
港の人々は何事だと家を飛び出した。
いったいどこの船が漁に出ているのだと、港中の家々を見回り確認した。
しかし、港から漁に出た船は一隻もなかったという。

こういった不可解な現象が事故の直後に起こったという。


解説

大きな事故や戦争の直後には、こういった話がありますね。
終戦直後には、北海道の町へ真夜中に戦死した人々の霊を乗せた列車が走ったといいますし、
やはり丘へと帰りたいのでしょう。

函館大火の時もこのような話が出たそうな。
大火は市の半分近くを焼き払い、2000人以上の犠牲者を出した洞爺丸以上の大惨事となりました。